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随想 皐月 |
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僕は今一枚の写真を眺めている。今は亡き祖母の写真だ。母の母である。大学時代に愛用していたニコンF2を、どういう経緯だったか忘れたが、久し振りにひっぱり出したときに撮った一枚である。
晩春というより初夏を感じさせる日だった。東京の近郊というか片田舎に祖母は住んでいたので、最寄のインターチェンジを出てしばらく車を走らせるといつもながらの田園風景となった。ちょうど田植え前の時期で、代掻きをする田んぼには一面水が張られていた。
今はもうなくなってしまったのだが、家の入り口には枝振りのよい梅の木があった。白加賀という中梅を代表する品種で、祖母は自家製の梅干をこの実を利用して作っていた。
畑と呼ぶにはもちろん狭いのだが、庭には様々な野菜が育てられていた。この季節にはなんとアスパラガスまであって、味噌汁の具になったりした。しかし、何と言ってもこの季節は韮がおいしかった。細い韮なのだが、堆肥がよいのか柔らかくエグみがない。祖母の手造り味噌ととてもよく合った。着いた翌日、これを啜りつつ朝食をとった。 主なき庭にツツジは今年も咲いていることだろう。 |
© 2003 ynishioka.
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