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随想 霜月 |
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また、東北は角館から九州の飫肥に至るまで、列島各地に小京都と呼ばれる町はたくさんあります。確かに何処も桜咲く春は捨てがたいのですが、小生の知る限りにおいては、どの地も再訪するならやはり秋かなと思います。山に囲まれ水清き地に位置することがこれらの町の条件なのですが、沿岸部に較べ、寒暖の差が激しい盆地特有の気候は、必然的に紅葉を鮮やかにし、冬への緊張をいやが応にも高めます。
ところで、小京都と称される町の多くは「もののふ(武士)」の町です。ですから、武家屋敷なるものが観光のメインになっているのも必定です。本家京都の成り立ちから考えれば、出自の全く違うものと言えます。となれば、佐原や川越のように小江戸とでも呼んでいただいた方が筋ではないかなどと一時は思ったりもしていました。まぁ要は、何処に憧憬をもってその町を眺めるかという一点に帰着するのでしょう。
もちろん、フランスの魂はパリにではなくその広大な田舎にあるように、この国も東京と小東京が覆う面積はわずかなものです。蔵王や日光の紅葉は、街で行われる営みとは異なる時間を刻んでゆきます。意外かもしれませんが、里山の風景もまた人の手により作られたものなのです。黄金色に染まる実りの稲田と同じく、錦織りなす山々もけっして自然美などではないのです。 |
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