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    9月                            vol.3




  演出されるべき平等







 物理的に測定可能とされるものを、計測器具を使って分けるにも困難は存在します。まして、道具が使えないとか、形なきもの(権利,義務etc.)を分けるには相当の困難(1)が伴うのは必定なのです。

注(1)
住宅地の自治会でゴミの集積所をどの家の前にするかなどといった問題も該当するでしょうし、焼却場をどこに建設するかなどといった問題や産廃処理場の設置場所を巡るトラブルなども難しい問題です。

 前回も軽く触れましたが、国政選挙・地方選挙を問わず、議員一人当たりの有権者数の格差是正問題がたびたび法廷で争われています。そもそも選出議員定数の決定などというもの自体、国勢調査に基づく1票の格差が6.48倍なら違憲、5.85倍なら合憲などと判断される性質のものでは本来ない(2)と私は考えます。誰かが思い付きで、この辺の数字が妥当だろうといった線引きをするとしたら、それは『定量する』意味や枠組を全く理解しようとしないど素人のやることでしょう。

注(2)
もしそうだとしたら、国連における1国1票制などは完全に形骸化してしまう運命にあるでしょう。人口10億の国と2万の国の軽重は問えないというのが、連合体を維持するための共有理念(若しくは幻想)だからです。地域人口はスタティックなものではありませんから、1票に格差が生じることは避け得ないものです。むしろ問題なのは、人口密集部と過疎部との間に、有為の格差は生じていないかのように、選挙制度を演出できていない点なのではないでしょうか。

 そもそも、平等など存在するのでしょうか。また、存在するとして、平等に分けるとは一体どういうことなのでしょうか。



【 問 1 】
  砂金が一つの皿(直径30cm程度)に盛られている。この砂金の山をA,B二人で等分したいのだが、あいにく重さを測る道具が何もない。そこで、両者が納得できるようにAに分けてもらいたのだが、Aはどのような段取りで砂金を二分していったらよいのだろうか。砂金を盛り分けるスプーンと取り皿は用いてよい。 figure1


 スプーンと小皿を用いて天秤を作り、その上で分ける…といった小細工を弄する手法もありかも知れません。しかし、「納得できるように」というところが本問の主題です。納得さえ出来ていれば、正確に二等分されている必要はないですし、所詮完全なる二等分なんて、原子レベルまで…などと考えなくとも、いかに道具を使ってみたところで不可能です。


【 解答例 】
操作 1: A自らが、これがニ等分であると納得できる分量で
      砂金の山を二つの皿に取り分ける。
操作 2: Bが、Aの分けた二つの皿のうち多いと思える方を選ぶ。
操作 3: Aが、Bの選ばなかった方の皿を選ぶ。

figure2


 もっとも、操作2において、BがAに多く砂金を分けて上げたいなぁ…と思えば、二つの皿のうち少ないと思われる方をチョイスしても構わないのです。要は、Bが選択権を持っているから、Bが好きな方を選んでよいということなのです。もちろん、Aはニ等分であると信じて皿に取り分けたのですから、Bがどちらを選択しようと、残ったものに不満はないはずです。
 まあ、最初に取り分ける方はA、Bのどちらにするのかとか、Aが二等分するのに手間取ることはないのかといった争点を抱えてはいますが、けっこう有名な問題なので、方法を知っていたという方もいらっしゃることでしょう。そこで、次の似たような設問に挑んでみて下さい。




【 問 2 】
  前問と同じ砂金の山を、今度はA,B,C の三人で等分したい。重さを測る道具の類はまったくないのも同様である。どのような段取りで砂金を三等分していったらよいのだろうか。砂金を盛り分けるスプーンと取り皿は用いてよい。


















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